2010年5月2日日曜日

フランス・ノルマンディーをドライブ ③ ヨーロッパにもあった!絵巻物

絵巻物と言えば、”日本独自の絵画形式”で、”横長の紙(もしくは絹)を水平方向につなぎ合わせて長大な画面を作り、情景や物語などを連続して表現したもの”とされています。

私、絵巻物大好きです。
ジブリ作品等でもおなじみの高畑勲さんが、「日本のアニメーションの原点は絵巻物にある」と言われている通り、素晴らしい絵巻物は、絵そのものが生き生きと描かれ、ぐいぐいと引き込まれていくストーリー展開と魅力を持っています。

が、たいへん似たものが実はノルマンディーにもありました!
それは・バイユー(Bayex)のタペストリー。
実物は、絨毯のようないわゆる ”タペストリー” というよりは、渋めの色味で染められた糸で ”刺繍された布” といった感じです。

長さは日本の絵巻物も真っ青、50cm×70m という長ロングな代物。展示室に入り、突き当たりで終わるのか、と思ったら、角を曲がってまだまだ先が続いていた...という(笑)。また、日本の絵巻物はたいがい幅30cmほどでこじんまりしていますが、50cmもあると画面にもけっこうな迫力があります。ちなみに、右から始まる日本の絵巻物に対し、こちらは左から順に見て行くことになります。

イングランド王・エドワード懺悔王の死に際し、海を隔てたフランス・ノルマンディー領主だったウィリアム1世(またの名をギョーム)が、次王に名乗りを上げ、1066年ヘイスティングスの戦いでライバルのイングランド人・ハロルド2世を倒すまでが描かれています。
世界史でも必ず習う、いわゆる"ノルマン人のイングランド征服(The Norman Conquest of England)"のお話です。これを機にイングランドは北方ゲルマンの影響下から離れ、以後フランスと政治的、文化的な関係が強まっていくことになる、イギリスの歴史でも一つのターニングポイントとされる重要な出来事。国としてイングランドの中央集権化が進んで行く第一歩とされています。
今、通っている英会話のテキストにも、この1066年以降、イングランドにフランス語が流入したことにより、現在使用されている英語にも大きな影響を与えた、とありました。

とまぁ、難しいことは抜きにして、ウィリアム征服王を主人公に、ストーリーは壮大に展開して行きます。58にもわたる場面のうち、大船団を率いてイングランドに乗り込むシーンは圧巻。
昨年、ノルウェーの博物館で見たバイキング船そっくり船の形からも、彼らがその血を引く人間であることを感じさせます。
イングランド上陸シーンでは、馬がまだ船に片足を残していたり、戦の前の腹ごしらえで、雄々しくテーブル代わりの盾の前でバーベキューを食している所など、細かい部分まで描き込み、合戦のシーンは兵士、馬入り乱れ、累々横たわる死体の山まで。















同時に、当時の農民の日常の様子も描き、家を焼き払われて追われる親子など、戦争の悲惨さも感じさせてくれます。








このタペストリー、ウィリアム征服王の異母弟、オドン・バイユー司教の命でイングランドで作られ、毎年ある決まった時期に、バイユーの大聖堂で展示され市民に公開されてきたとか。ノルマン朝の正当性を世間に主張する意図もあったのかもしれません。そのためにも、字の読めない市民にもわかる絵巻、という形を取ったのでしょう。

たまたまお昼時だったせいかとても空いていて、社会見学の子供達が溢れる季節にも関わらず、オーディオガイド(ちゃんと日本語がありました!)の解説を片手に、自由なペースでじっくり2回も見ることができました。

平面に描かれたものですが、70mの長さの中で、時間の経過を十分に感じ取ることができますし、表現は一見漫画チックでつたなく感じますが、詳細にわたる素晴らしい描写で、登場人物も、動物すら生き生きと動き出すよう! イマジネーションが広がり、空間の広がりや、感情のうつろいすら思わせます。1000年近い昔の刺繍の布に、ただの平面以上の世界が表現されていました!特に期待せずに見始めただけに、逆に感動も大きく、思わず長居し、後の旅程に影響してしまったほど(苦笑)。

ショップには、詳細な解説本と共に、長〜〜いタペストリーそのままに印刷された簡単な解説本も売っています。なんと日本語版で手に入ります。

帰って来て、学生時代の世界史の資料集を見てみると・・・あ、あった! でもほんの一場面がちっちゃく載っているだけ・・・これじゃインパクトもなく、覚えられなかったわけだよなぁ・・・(苦笑)。
膨大な歴史のお勉強も実感してこそ頭に入る・・・な〜んて今更、大昔のテストの言い訳をしたりして。。。

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