2009年11月1日日曜日

イギリスの赤いポピー募金 ”Poppy Appeal”










あっという間に11月がやって来ました。
ここ最近、テレビを見ていると、政治家、ニュースキャスターやバラエティの司会者、サッカー選手までもが、胸に可愛らしい赤い花のブローチをつけているのに気づきます。
そういえば、街中でも・・・道行く人の胸に赤い花、新聞のタイトルにも赤い花が・・・。

10月に入った辺りから、イギリスはすでにクリスマス=年末?モード。お店には、クリスマス・ギフトが並び始め、テレビCMも、ハッピーなクリスマスのシーンが目立ちます。

日本で言うところの”年末助け合い”運動のようなものかな、と勝手に思っていましたが、調べてみると、内容はまったく違いました。

これは、イギリスの退役軍人会(The Royal British Legion)が行っている、”ポピー・アピール”という募金活動で、これまでの戦没者を悼み、障害を負った兵士や遺族などの支援に充てられるものだったのです。
特に今年は、連日、犠牲者が出ている、アフガンでの活動に従事する兵士や家族のサポートが、アピールのメインのようです。

この赤いポピーには、実は長い歴史があります。
第一次大戦、映画にもなったフランドル・ピカルディ地方(北フランス~ベルギー辺り)の西部戦線では激戦となり、イギリス軍にも多くの被害が出ました。
その後、荒廃しきった土地には、真っ赤なポピーが一面に咲いたそうです。

ポピーの種は、塹壕を作るため土を掘り起こしたり、靴で踏まれると発芽しやすいため、激戦地ほど咲き乱れたとか。そして赤いポピーは兵士達が流した血を連想させました・・・。

この戦線にカナダ軍として参加していた、ジョン・マクレアという人がこのポピーを見て詩を書きました。

In Flanders' Fields
John McCrae, 1915

In Flanders' fields the poppies blow
Between the crosses, row on row,
That mark our place: and in the sky
The larks, still bravely singing, fly
Scarce heard amid the guns below.

We are the dead. Short days ago
We lived, felt dawn, saw sunset glow,
Loved and were loved, and now we lie
In Flanders' fields.

Take up our quarrel with the foe;
To you from failing hands we throw
The torch; be yours to hold it high,
If ye break faith with us who die
We shall not sleep, though poppies grow
In Flanders' Fields.

これに感銘を受けたアメリカ人女性が退役軍人のために赤いポピーを売り始め、それがイギリスでも広まったのが、このポピー・アピールなのです。1921年から行われているそうです。

そして、この活動は、11月11日、リメンバランス・デー(Remembrance Day)まで行われます。

1918年11月11日午前11時、第一次大戦は終結しました。
毎年、この日の同じ時刻、国中で2分間の黙祷が行われ、ロンドンでも戦没記念碑の前で、女王をはじめ、王室、政府関係者によるセレモニーや、退役軍人のパレードが行われるそうです。

今日もニュースで、別の戦没者セレモニーの様子が映っていましたが、やはり赤いポピーの花輪が供えられていました。









戦勝国のイメージの強いイギリスにも、日本の8月15日と同じように戦没者への追悼行事があることに、まず驚き、その痛ましい記憶の源が”第一次”大戦であることにも驚き・・・。
戦争は、勝っても負けても、同じ悲しみを残すのだと感じます。

また、日本では、何かと昔の”帝国主義”につながると批判され、タブー視されがちなこの手の活動が、イギリスでは国をあげて行われ、政治家も市民も積極的に参加している様子が、ずいぶんと違います。

そして、もう一つ、考えさせられてしまうのは、すでに60年以上昔に戦争が終わったきり、平和ボケしている日本の状況とは違い、いまだ続行中の戦争に従事する兵士たちを支援する募金でもあることです。
活動母体が、退役軍人会であるからには、過去の戦争や、現在の戦争ももちろん、決して否定しているわけではありません。

これは平和の一助になる募金なのか?単純に傷ついた人を助ける募金と考えるべきなのか、それとも・・・。
イギリス人は、心を一つにし、国や国民のため、という愛国心から募金する人も多いでしょう。では外国人の私は?

「赤い花のブローチがカワイイし、私も募金してみようかな?」、などと軽く考えた自分は浅はかでした。

↓”The Royal British legion”のサイト
http://www.poppy.org.uk/

2 件のコメント:

  1. 考えてみると、わたしの親の世代の人たちは子供の頃に戦争を体験しているし、わたしが子供の頃にはまだ実際に戦争に行った経験を持つ人たちが周りに何人もいて、戦場の恐ろしさを話してくれたりということもあったんですよね。
    もっとも幼いわたしには怖いだけで面白い話ではありませんでしたが。
    グアム島で横井さんが見つかったときには、戦争で行方不明になった兄が同じようにどこかで生きているかもしれないと、母がテレビのニュースを見ながら涙ぐむということもありました。
    戦争の悲惨さと今の平和のありがたさを思うと、日々の小さな人との行き違いやつまらない出来事などでくよくよしている時自分がばからしく思えます。

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  2. 昨日(11/8(日))、リメンバランス・サンデー、ということで女王や首相も出席して式典が行われていました。

    テレビでシワシワのおじいちゃんが涙を流しているのを見て、戦争で失った肉親や友人の記憶って、その人にとっては、何十年たっても決して薄れることはないのだと、胸を締め付けられるような気持ちになりました。
    natsukoさんのお母さんも、お兄さんのこと、ずっと忘れられないのでしょうね。

    先日行った、ポーランド・アウシュビッツにもたくさんの小・中学生が社会見学で来ていましたが、真面目に見ている子に混じって、退屈そうにしたり、ふざけている子供達もいて、なかなか「平和」を実感するのは難しい世の中なのかなぁ、と思いました。
    かくいう私も、偉そうなことは言えないレベルで、すぐイラついたり、人に噛み付いたりしますしね。natsukoさんに同感です。

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